2008年10月10日金曜日

UKPDS80: 糖尿病に対する強化療法により大血管障害へのレガシー効果が得られる

スタディ
UKPDS (United Kingdom Prospective Diabetes Study)80

デザイン
RCT
患者: 2型糖尿病 4,209人
介入: 食事制限, 強化療法(SU剤 or インスリン、過体重患者にメトホルミン)。
注: 試験終了後に治療の割り付けは終了し、10年後の時点でフォローアップしている患者をITT解析したもの

結果
HbA1c: 割り付け終了後、群間差は消失
糖尿病関連のすべてのエンドポイント: RRR 9%, P=0.04
微小血管障害: RRR 24%, P=0.001
MI: RRR 15%, P=0.01
全死亡: RRR 13%, P=0.007
メトホルミン群の結果: 糖尿病関連エンドポイントのRRR 21%, P=0.01、MIのRRR 33%, P=0.005、全死亡のRRR 27%, P=0.002

追記
ACCORDの結果を受けて早期にまとめたものか?強化療法のメリットが強調された。

UKPDSは最初期の解析で、強化療法により微小血管合併症は有意に減少することを証明したが、大血管合併症のリスクを減少させることを証明できなかった。しかし過体重のDM患者に対するメトホルミン投与により心筋梗塞、全死亡のいずれも有意に減少した。これがその後の世界的なメトホルミンの使用につながったものである。

レガシー効果とは、この研究では強化療法と食事制限という二群に分けたのは最初だけのことで、しかもその後両群のHbA1cの違いは消失したにもかかわわず、強化療法群のメリットが持続しているということ。

その他詳しくはまだ読んでいない。

リファレンス Holman et al. NEJM 2008;359:1577-1589.

2008年10月4日土曜日

GISSI-HF試験:クレストールは心不全の経過に特に影響しない

スタディ
GISSI-HF試験

デザイン
RCT
患者:18歳以上のNYHA class II-IVの心不全患者、EFは問わない
介入:クレストール10mg (n=2285), プラセボ (n=2289)
期間:3.9年
一次エンドポイント:死亡までの時間、心血管的理由による死亡または入院までの時間
(目的:リピトールにおいてretrospectiveに、また小さなprospective studyで心不全の予後改善効果が示されている。クレストールは、CORONA試験において大規模前向き試験においても確認した。さらに追試してやろうというところ?)

結果
死亡:29%, 28% (HR 1.00, 95.5%CI 0.898-1.122, P=0.943)
心血管的理由による死亡または入院:57%, 56% (HR=1.01, P=0.903)
消化管副作用:1%, 2%

追記
CORONAスタディにおいて確認された、クレストールによる単独の心不全予後改善効果(心血管的理由による入院の減少、HR=0.92)の検証となる論文で、結果は否定的。サンプル数は両試験とも同等で、検出力に問題があるかどうかは不明。少なくとも強いreproducibilityのある結果ではない、というところ。著者らはCORONAではGISSI-HFよりも虚血性心不全が多かったことが異なった結果の理由ではないかと考察しているみたい。

ところでCORONAと同様これもGARAXYプログラムの試験の一つだが、銀河系的にどういう意味のある名前なのだろう?

DURATION-1試験: exenatideの週一回投与は、一日二日投与よりも有効である

スタディ
DURATION-1 (Diabetes Therapy Utilization: Researching Changes in A1c, Weight and Other Factors Through Intervention with Exenatide ONce Weekly) 試験

デザイン
RCT、非劣性試験
病気:2型糖尿病患者295人(mean HbA1c 8.3%, BW 102kg、罹病期間 6.7年)
介入:exenatide 2mg x1/week, 2ug x 2/day
期間:30週
一次エンドポイント:HbA1cの変化

結果
HbA1c:-1.9% vs -1.5%, 95%CI -0.54% to -0.12%, P=0.0023)
HbA1c<7%達成率: 77% vs 61%, P=0.0039
悪心:26·4%, 34·5%
嘔吐:10·8%, 18·6%
注射部位のかゆみ:17.6%, 1.4
上気道感染:8.1%, 17.2%

追記
exenatideはGLP-1受容体アゴニストという薬で、日本での認可がまだなのでよくわからないがインスリン、耐糖能、グルコース吸収などといったこれまでの薬の作用ポイントとは異なるメカニズムで血糖を下げるらしい。メトホルミン+SUで効果不良の患者に対し、ランタスとほぼ同等の効果をもたらすなどのpromisingな結果が蓄積されているが消化器副作用があるとのこと、また皮下注射というのが大きなデメリットではあろう。

効果が同等以上で、副作用が少ないようだから週1回投与でいいようなのだ。しかし上気道感染の多さは一体??